人事部長は3人が研修で学んだスキルを生かせずに悩んでいる原因が分からなかった。
でも私は分かった。
3人とも
「組織とは何なのか」
「仕事とは何なのか」
「組織の中で働くということはどういうことなのか」
という「そもそも論」が分かっているようで実は分かっていなかったのである。
教科書的な能書きではなく、その人自身の人生観に基づいた「組織観」や「仕事観」が希薄だったのである
スキル以前に大切なものがあるのだ。
しかし多くの会社や多くの個人はこのことに気づいていない。
(出所:中沢努「思考のための習作」)
これからのビジネスパーソンに必要とされるものは「ビジネススキル」+「人間としての質を高める教養」です。
ビルドゥングは、パンセ・ソバージュ・アンド・カンパニーのアカデミックなバックグラウンドである「哲学」と経営コンサルティングの場で得られた「現場での経験」が融合したユニークなメソッドによって行われる社会人・企業向けのリベラルアーツ教育です。
「相手の目線でものごとを見、感じ、考える」という力を学ぶために、「相手の景色だとどう見えるのか?」「それを見ている人間は何を感じるのか?」というテーマで具体的な事例を用い、深く知り、深く考え、深く気づいていきます。
マニュアルや教本の類を真似てみたものの、なかなか上手く叱れないと感じている人は多いと思います。
あなたもそういう人の一人だったとしたら、ちょっと視点を変えてみて下さい。
ある道すがらの出来事だった。
「何度同じことを言わせるの、いい加減にしてよね。あんたのために注意しているのに。まったく、このバカ」
怒鳴り声がした方向に体を向けると、女の子の母親が感情を露わにして子供を叱っている姿が目に入った。
怒鳴られた少女は母親にしぶしぶ従う様子を見せ、やがて母親の言うことに従った。
しかしその目は「うるさいな。分かったふりをしておこう。ホントは全然納得していないけど。」と語っていた。
「あんたのために注意している」と母親は言っていたが、私には、心から子供のことを想い教え諭すというより、怒りや苛立ちの感情を少女にぶつけているだけのように見えた。
その光景は私にある上司を思い出させた。
上司が部下を叱りつけた。
「何だその態度は。私がここまでいうのは君が自分の現状に全く気づいていないからだぞ。」
その言いぶりは部下に成長して欲しいという上司としての想いではなく、単に苛立ちという感情の発露…イライラの小爆発…のように聞こえた。
しかし上司はそのことに全く気づいていなかった。
私は思った。
「あれでは部下の心に響かない。部下に自分の現状に気づいて欲しいと言う前に、苛立ちを相手にぶちまけている自分自身の現状に気づく方が先だ。そうでないと部下の心はますます離れる。」
1週間たっても1ヶ月たっても上司は部下を叱り続けた。
しかし、部下の態度は変わらなかった。
上司の苛立ちはますます大きくなった。
叱りには、2種類の叱りがあるのです。
「私情の叱り」と「愛情の叱り」。
(出所:中沢努「思考のための習作」)
自分というのはなかなか見えません。
相手から見ると「この人何でこんなことを・・・」というようなことを、私たちは知らないうちにしているかもしれないのです。
恐ろしいのはそれに気づかず、それが普通になり、そういうことに無感情・無感覚という、「麻痺」状態になってしまうこと。
本当の意味で「相手の目線でものごとを感じ、考え、行動する」ためには、自分自身の内面を強化しなくてはならないのです。
40代の男がいた。
組織の中でもそれなりの地位に上りつめ、「自分でやる」というよりは「人にやらせる」、すなわち「他人を使い大きな仕事をする」立場にある男だった。
この男がある外国語を学ぶ羽目になった。
全くの初心者である。
仕事の合間を縫って学校へ通うことになったその男を待っていたのは「暗記」だった。
男は参った。
単語にせよ文法にせよ、そのどれもが憶えられないのだ。
観念した男は文房具店で分厚いノートを何十冊と買い込み、単語を書き写し始めた。
文法書を読み、変化する語を追い、例文を書き写した。
書く、書く、書く。
朝に晩に、ただひたすら書き続けた。
手が真っ黒になった。
指にたこが出来た。
しまいには指のたこが破れ、鉛筆が持てなくなった。
それでも止めなかった。
痛みを誤魔化そうと指に絆創膏を貼り、書き続けた。
トイレの中でも、電車の中でも、弁当を買い求める列の中でも、彼は頭の中で書き続けた。
不思議なことが起こった。
ある時期を境に、単語や文法が脳をひとりで駆け巡るようになったのだ。
男は久方ぶりに原点に戻った気がした。
全てを自分でやらずに済んでいた彼は、いつしか「全てを自分一人でやる」ということを忘れていたからだ。
部下を持った彼は、無意識のうちに「陽のあたらない、地味な作業」を軽視するようになっていた。
自分はやらずに部下にだけ「そういうこと」を押しつけるようになっていた。
単語や例文をひたすら書くという一兵卒の作業は、そんな彼の精神を原点へ押し戻した。
以来、彼は「そういうこと」を馬鹿にしなく・・・というか、馬鹿にできなく・・・なった。
私たちは組織や仕事に慣れると「初心」を忘れます。
「下っ端の仕事の大切さ」も忘れます。
しかし仕事は「陽のあたるもの」だけでは成り立たないのです。
(出所:中沢努「思考のための習作」)
世界で通用する優秀な組織や人材は、経済性だけでなく社会性と人間性を併せ持ち、広い視野で考え行動します。
・・・その領域にまで達した企業だけが自らを誇り、称賛される。
・・・その領域にまで自分を高められた社員だけが生き残れる。
これからの企業には「人間としての質を上げる教育」を行い、成熟した個を持った人材が必要です。
対象 | 中堅社員及び管理職(幹部人材/選抜者/エリート候補) |
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定員 | 少人数で行います。 |
講師 | 弊社代表 中沢 努 |
内容 | お問い合わせ下さい。 |
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