過去、ある場所で「ワークライフバランスの活動団体を見ていると、『言っていること自体は正論だが、運動に対してはある種の胡散臭さを感じる』」という趣旨のことを言ったことがあります。
話しが終わった後、私の話しを聞いて下さった聴衆の一人から「ワークライフバランスの活動に対して反対する人がいるが、その理由が少し分かった」という趣旨の言葉を頂きました。
ちなみに、胡散臭さを感じる主な理由として以下を話しました。
もちろん全てのワークライフバランス活動がそうではないと思いますし、全く異なる印象をもつ方もいらっしゃると思います。このサイトを読まれた方はどう思われますでしょうか?
せっかく素晴らしい提言をしているのですから、多くの人に「その通りだ」と思ってもらうことが重要です。そのためにはどのように活動を進めていけばよいのでしょうか?
分からないなと思ったら、
ということを考えて見ることをお勧めします。
人事コンサルティングの立場から、率直に申し上げます。
現在話題になっている、または導入されている具体レベルの施策は、経営の視点から見れば福利厚生の一部に過ぎません。(誤解の無いように申しあげますが、福利厚生として一定の範囲での効果は望めます)
ワークライフバランスの専門家やコンサルタントが提唱しているあるべき姿や全体像は、抽象論の域を出ていません。またそこで指摘されている問題点や課題は、既に人事を含む様々な領域のマネジメントコンサルティングや人材育成の世界で取り扱われているものも少なくありません。ワークライフバランスという文脈で語られていなかっただけです。ワークライフバランスのトレンドに乗ったところで、簡単に解決できません。
話しを整理すると、以下のようになります。
ワークライフバランスを人事戦略として取り扱うのであれば、問題を取り上げる際の視点や掘り下げる深さをもっと高めましょう。質を高めなければ、この流れも一過性の流行で終わってしまいます。
戦略と言う言葉は聞こえがいいので使う側も聞く側も気軽に用いますが、今のレベルで戦略として通用させるのは難しい。世間の風潮やトレンドに自分の実感を乗せただけでは、資本の論理には勝てません。
厳しい言い方ですが、これが現実です。
このように経営や資本の論理を念頭に置きながら現在のワーク・ライフバランス推進活動を見ると、「これからが大事だ、これからこそが本番だ」と強く感じます。
このままでは経営の一番生々しい、悩ましい、難しい部分を知らない「評論家風情」として扱われかねないからです。
本当の意味で経営者を認めさせかつ認められ、対等に議論するために、経営についてもっと学びましょう。
例えば、
などの問いに対し、借り物でない自分の言葉で、間髪いれずに答えられるよう勉強しておきましょう。
そして、まずは主張する本人が、会社の中で周囲を認めさせるだけの成果や付加価値を出す必要があります。
志は高く持ち、出来ることから始める。
さあ、経営のメカニズムや経済問題を学び、広い視野を持ちましょう。スキルや実力をさらに高め、仕事で結果を出しましょう。
その姿勢と行動が、周囲を振り向かせる大きな原動力になります。